そして僕は免罪符を求める事なく、贖罪の機会も設けずに日々の日常を過ごす。
お盆を前にして仕事のその殆んどは、お盆後の仕事の予定取りに追われた。
営業先への挨拶や休日日数の連絡がここ3日間の日々の業務になっていた。
僕はそういった挨拶廻りをそつ無くこなし、茹だる様な暑さに日々タメ息をもらした。
僕は正直言ってこの街が嫌いだった。
この街も、この仕事も、日々重なる日常も嫌いだった。
だが僕はこの街から出た事は無かった。
僕は地元の高校へ進学し地元の会社に就職し今に至る。
変わった事と言えば、5年程前に親元を離れ一人暮らしをしている事くらいで、それでも僕はこの街のテリトリーの中で過ごしている。
だからと言って高校を卒業して上京した友達の話を聞いて、そんな暮らしに憧れる事も無かった。
ただ僕は重なる日常に埋もれ、それを繰り返すだけしか出来ない。
つまらない男だった。
そんな僕を明子は愛してくれている。
そして僕はその愛を蔑ろにしながら海沿いの街の夏恵を求めている。
僕の中に夏恵に芽生えている感情が『愛』なのか疑念が生まれる。
だがその答えは見えず僕はただ苛立つ。
そして僕は苛立ちを抱えたまま、お盆までの日常に埋もれ日々を、淡々とそつ無くこなして行く。