僕達はテトラポットの上で永い永いキスを交わした。

それはほんの一瞬だったのかもしれない。

それは本当に永い永い時間交わされたのかもしれない。

ただ波の打寄せる音が何度も何度も僕の耳に響いていた。


『・・・泳ごう』


夏恵はそう言って服を脱ぎながらテトラポットから、すっかり潮が満ちて狭まった砂浜に降りた。

僕は少し戸惑いながら夏恵を追ってテトラポットから砂浜へ降りた。

夏恵は自分を包む服を、まるでシガラミを振り払う様に脱ぎ捨てて一糸纏わぬ姿で水面へ歩み始めた。

僕は足元に打寄せた夜の海の冷たさに躊躇った。

そんな僕を放って沖へ沖へと水面に溶け込む様に歩みを進めた。