僕達はその後、浜辺を見下ろせる公園で蜩の鳴き声を聞きながら愛し合った。

紅い夕闇が深い青色の闇に移り変るまで愛し合い。

夏恵の突飛な提案に従い僕は新潟の海を見に行く事にした。


昼間に二人で子供の様に遊んだ浜辺の横を車で通ると、潮が満ち始めた海は、ただでさえそれ程広くはない遊泳海岸を更に狭めていた。

夏恵はそんな海を不思議そうな表情でじっと見つめていた。

僕は海を見つめる夏恵にかける言葉も見つからず、ただ新潟を目指して車を走らせる事にした。


僕は別に早く新潟に着いてしまいたい訳では無かったが、太平洋側と日本海側を東西に結ぶお粗末な高速道路を利用しようと思った。

しかし夏恵が高速道路を使うのを何故か拒否したので一般道を利用して西へとひた走った。

途中僕達は新潟の県境手前辺りでファミリーレストランに寄り食事をした。

ファミリーレストランでは僕の頼んだパスタの味のお粗末さに二人何故か可笑しくて終始笑っていた。