ビーチサンダルを脱ぎ、僕は焼けた砂を踏みつけた。


波打ち際で夏恵は打寄せる波と戯れる。

僕は少し疲れて浜辺で寝そべりながら、そんな夏恵を見ていた。

夏恵は濡れない様に髪を束ね上げていたが、僕に海の中に放り込まれたせいで観念して髪を下ろしていた。

夏恵の濡れた髪は美しかった。

彼女と初めて出会った日も雨に打たれて、その髪は美しく濡れて輝いていた。

夏恵は髪の水気を振り払いながら、疲れて寝そべる僕の方へ不満げな顔で歩み寄り、僕の上に思い切り覆いかぶさってきた。


『・・・一人で遊んでてもつまらないんですけど・・・オジサン!!』


『結構楽しそうに見えましたけど・・・オバサン。』


『・・・もう。』


夏恵は少し膨れながらキスをしてきた。

僕が『人が見てるよ・・・オバサン。』と言うと僕の胸をパチンと叩いた。

僕は膨れっ面の夏恵をひっくり返して、逆に覆い被さる様になり少し強引にキスをした。


『乱暴なオジサンは嫌われるよ。』


『・・・夏恵は俺の事嫌い?』


僕がそう言うと夏恵は無言のまま僕の唇を寄せて再度キスをした。

僕達は人目をはばからず浜辺で永い永いキスを交わした。