僕が少しむくれた様子をわざと見せたら『ごめんごめん』と夏恵は反省の様子を見せずに相変わらず笑いながら謝った。
正直な所を言ってしまえば夏恵が年下だろうと年上だろうと関係無かった。
彼女の美しさは、まるで衰えを知らないかの様に突然時間をそこで分断し止めてしまった様に僕は感じていた。
それは僕が夏恵の美しさの衰えを考えたくないが為の錯覚なのかもしれないが、僕の中で今の夏恵が永遠だった。
僕達はコンビニでおにぎりやウーロン茶を買い込んで子供の様にはしゃいでいた。夏恵は『浮き輪が必要だ』と笑いながら言い、僕は『コンビニじゃ売っていないよ』と吹き出しながら言った。
『海で泳ぐのなんて久しぶり・・・』
夏恵は繊細な指先を左右に振りながら日焼け止めを選び、カゴの中に放り込みながらしみじみと呟いた。僕は夏恵の言葉を笑顔のまま『俺もだよ』とだけ答えた。