「いらっしゃい。おやおや、これは。右京じゃないか。」




皺枯れた声で出迎えたのは、黄金に輝く毛並みの、狐でもないが猫でもない、そんな不思議な生き物だった。



若草色の動きやすそうな着物の袖はまくられて紐で結わえてある。




「どーも。ここんところ、もう鍵師の顔見るのも嫌な位なんだけどね。」




心底嫌なんです感を顕(あら)わにして溜め息を吐く。



そして手にしていた鍵箱をぱかっと開けて見せると、鍵師はわずかに目を見開いた。




「え。また?」




こっくり、右京は頷いた。