「右京…右京!」




いつの間にか眠ってしまっていたらしい右京は、鍵師の声で意識を取り戻す。




「大分、待たせてしまったな。鍵が仕上がった。」




右京は重たく圧し掛かる瞼をなんとかしようと、ごしごし目を擦り、ふあぁと欠伸をした。




「ありがとー。これでまぁ、暫くは大丈夫かなぁー」



差し出された鍵箱を手に取り、中を覗く。




絶対零度の鍵は、



円くて、



蒼く、



そして美しい。



鍵の真ん中に咲く雪の結晶の花は、幻と言われる程希少価値の高いもの。



右京はいまだ、鍵以外で、この結晶に出会えたことがない。