「地球、だってさー」




傍にあった藺草(いぐさ)の椅子にどかりと腰を下ろし、最早自分の家状態で寛ぐ右京。




「またか…。わかった。王のご命令じゃ、作ろう。だが、絶対零度の鍵も材料は特級品を厳選しなければならないし、早々作れるものでもない。こんな状態が続けば困ったことになるじゃろうよ。」




憂いを帯びた碧玉の様な目で、ふっと息を吐いた。



鍵師が奥で調合を始める音を聞きながら、右京は頭の後ろで手を組み、天井を見上げた。



描かれている数々の惑星。



一際目を惹く、青い、星。



「地球、か。」




批難の気持ちを少しだけ籠めて、呟いた。