「ごっ、ごめんなさい…」



つい……触れてしまった。



…つい?

ついなんかじゃない。


あたしが、藤田くんが好きだからだ。

好きだから触れたくなったんだ。



「………」



触れていた頬から急いで手を離すと

マスクをかけ直して、藤田くんは下を向いてしまった。



何も言ってくれない…。
怒ったかな?


…怒ったよね…。



自分だって、最近友達にもなったような男子に急に頬を触られたら

『なにしてるの?』って言いたくなる。



ほんとに何してるんだろう、あたし。



思い沈黙が続いて、あたしはそれに堪えられなくなった。