どうしよう、

近づきたい。触れたい。




「まだ色は消えないけど」



おかしい。

藤田くんの声が耳に入ってこない。

動いてるのはあたしの足だけ。



上履きと床が擦れる音だけが響く。



「…リコ?」



無意識だった。


藤田くんの青紫色の頬に、あたしの手が伸びた。



痛そう。殴られるのなんて、どれだけ痛いんだろう。

あたしにはわからないけど、きっとあたしが想像してるのより何倍も痛いんだろうな。




「…何してるの」



藤田くんが不思議そうな顔であたしを見ていて、ふっと我に返った。