桜の花びらを避けて歩くことに必死で、
横を歩いていた人にぶつかってしまった。
「ごめんなさいっ」
足元を見ると、まだピカピカのローファー。
……新入生かな。
「あっ、いえ…あたしも桜に見惚れてて、前見てなかったんで全然大丈夫です」
膝丈までのびているスカートで、きちんと校則を守っているところが1年生だと判別することができた。
そのとき。
ふわっと桜の匂いの風が吹いて、
散っていく桜を見上げた。
青い空に、ひらひらと舞っていく桜の花びらたち。
儚いものだと思っていたけど…。
「「綺麗……」」
言葉がハモッて、驚いてその子を見た。