夜は嫌いだ。 暗いし、怖いし、友達と別れて家に帰らなきゃいけないし。 藤田くんともバイバイしなきゃいけないんだもん。 重い足を上げて、ドア前の階段を上る。 振り返ると、藤田くんはポケットに手を突っ込んだまま、あたしを見ていた。 「…はやく入りなって。冷えちゃうよ」 かすかに笑った顔に背中を押されて、 家の中に入った。 ガチャン、と閉める鍵の音が、 こんなに切ないなんて知らなかった。