「前から思ってたけど、藤田くん甘いね…」
これはギャップというやつでは…。
まだクラクラして、ポスッと藤田くんの肩に顔を埋める。
藤田くんの匂いが広がって、
藤田くんの腕の中にいるんだって実感できる。
これがあたしの精いっぱいだよ…。
「これだけでギブなの?」
「…うん…」
「先が思いやられるな…」
あたしの頭をやさしく撫でる手が、
あたしの背中の温かい手が、
好きだと言いたくなってしまう。
「藤田くん、調理実習のとき言いかけたやつ…」
「まだ言ってるの?その話はもうおしまい」
「えっ!?」
静かに塞がれた口のおかげで、
あたしは黙るしかなくなってしまった。
…ハンバーグの味がした…。