藤田くんが近づいてくるのが、制服のこすれる音でわかる。
でも、キスしたいと思うのも、
任せたいと思うのも藤田くんしかいない。
掴まれていた腕が手に変わって、さらにギュッと目を瞑る。
静かに触れた唇が、
あたしには刺激的すぎた。
なんか頭がクラクラして、夢の中にいるみたいな気分になる。
離れた気配に、そっと目を開ける。
「…これさ…止まんなくなるね」
その少し照れたような顔と声に、
あたしの中にまた好きが積もる。
「…好きな子だと余計に」
『好きな子』というワードに、胸が躍る。
ずるい、あたしだって藤田くんのこと好きなのに。
あたしだって、藤田くんのことドキドキさせたいのに。