どこから出してきたのか、いつも一脚しかない椅子が増えていた。
もしやあたしの席…。
「す、座ってもいいかな…」
静かに椅子に腰をかけると、
すぐ近くに藤田くんを感じた。
目の前に座っている藤田くん。
後ろからは夕陽がさしていて、なんだかすごく綺麗…。
向かい合って座ってるあたしたちの間には何もなくて、
膝と膝がぶつかりそうなんだ。
ど、どうしよう。
…なにこの空気、重い。
「あの、なんで緊張してるかって言われても…わかんない。理由がわかんない…」
「なにそれ、どういうこと」
「あたしにもわかんない…だけどなんかっ!」
言いたい。
なにかわかんないけど、今言わなきゃいけないって。
なんでだろう。わからない。
けど、言うしかない。