放課後になって、あたしは少し不安な気持ちでいつもの場所へ向かった。




だっていつもは、あたしが自分で行きたいと思って行ってたんだもん。

それが突然【放課後 来て】って。




一体何があるんだろうって思うじゃん。




静かな廊下、
外から聞こえる運動部の元気な声。



上履きの小さな足音が、やけに大きく聞こえてくる。




扉に手をかけて、ふう、と息を吐いた。


いつも会う昼じゃない放課後。
小さなことでもなにか特別に感じてしまう。



期待しちゃいけないとわかっていても、
何かあるんじゃないかって思ってしまう。

図々しい。




静かに扉を開けて一歩踏み出すと、
そのすぐ横に藤田くんがいた。




「っ!?」




壁にもたれかかって、腕を組んで。

まさか、あたしが来るのを待ってた、なんて。




「ど…どうも…」