あ、ここにいたらだめだ。



しばらくドアに寄っ掛かっていて気づく。

お兄さんが……じゃない。
ウツイさんが出てきてまだ私がここにいたら今度こそ嫌われてしまう。

それは嫌だから。
動くのは億劫だけれど、無理やり体を動かし、その場から離れた。




ウツイさん。

慣れない呼び方に戸惑う。

でも慣れなくちゃ。


いや、それよりも、そんなに話すことはないか。

もとからあまり会わない私たち。

だから大丈夫。
ちょっと前の、ウツイさんを知る前の私に戻ればいいだけなんだから。