「じゃあ」

 彼がぼそっと呟いた。

「これからは、空色って言おう。スカイブルーは面倒くさいし」

「うん」

「別に面倒くさいの使う必要ないよな。簡単なので。綺麗だったら、それで、別に」

「うん、そうだよね」

「・・・負けたら、次は勝てばいいってのと一緒だな」

 ―――――――うん?

 あたしは頷くのをやめた。

 横目でこっそりと見ると、横内はまだぼーっと空を眺めている。

 ・・・てか、今昼の1時半くらいだっけ?そういえばもう対校試合は終わったのかな。それで戻ってきたのかな。試合結果・・・ちょっと聞く勇気がない。

 爽やかな風が通っていってあたしのエプロンや髪を揺らす。言葉が見付からなくて困って立ち尽くす。

 聞きたい。試合、どうだった?って。

 どうして一人でここにいるの?他の人達は?って。

 だけど・・・聞けない。

 情けない。あたしは自分に大いにがっかりしながら、それでもと無理やり口をこじ開けた。

「・・・横内君って、負けず嫌い?」