つられてあたしは空を仰ぎ見る。
雲がきれて、すっきりと晴れ上がった真昼の青。色んなところにプリズムが落ちて、光景そのものがきらりと光っていた。
見事な見事な青空。あまりにも青一色で雲もないから遠近感がつかめない。
すぐそこに張り付いているようにも見えるし、永遠に届かないほど遠くにあるようにも見える。
大きく上を仰ぎ見ていたら、ぼんやりと後輩のヒカリちゃんの言葉を思い出してきた。
「・・・スカイブルーって」
「ん?」
「ちょっと、面倒臭いんだよ」
気がついたら、あたしは空を見上げたままでそう呟いていた。
横内がこちらを見た気配がした。
「・・・後輩がね、調べてたんだけどね、スマホで」
「うん?」
「日本語の空色って晴れた日の昼間の空の色って定義なんだって。曖昧なの、意味が広くとれて」
「うん」
「だけど、英語のスカイブルーってね、やたらと条件があったの」
「・・・へえ」
あたしはそこでハッとした。やだやだ、ちょっとあたしったら何をベラベラといきなり喋っちゃってるのよ。
だけど、ちらっと見た横内は退屈しているようには見えなかった。急いでいないのだろうか、すでに頭を押さえてはおらず、ぶつかった時に落ちたらしいキャップをひろって砂を払っている。