「僕は、桃ちゃんの相談とか愚痴を今まで聞いてきて、僕と同じだな、って思ってたんだ。
そしてある日、桃ちゃんが僕に愚痴ってたとき」

少し店長は間を置いて深呼吸をして言った。

「桃ちゃんは、こんな風に言ったんだ。
『“私を産まなければ自由だったのに”とか言うんです!』ってね。
実は、僕は産まれてすぐ、婆ちゃん家に預けられたらしいんだ。でも、引き取られてすぐ、婆ちゃんは死んだ。
爺ちゃんは僕が産まれる前に、亡くなってたんだって。
それから親戚中をたらい回しにされた。
母がいるのに、だよ?
まだ僕は小さくて、結構暴れん坊だったらしいから、親戚の中でも嫌われてた、って言うのを父に聞いたんだ」

「何で、父が出てくるの?離婚してないの?」

「その時はね。でも、その後すぐに別れた。両親がお互いに、別の愛人と仲良くやってたらしいよ」

もう、何だか私の過去と全て繋がった気がした。

「別れてから家を出て行くとき、母はこう言った。『お前を産まなければ自由だったのに』って。
結局、両親は子供ができたから結婚したって感じじゃないかなって僕は思ってる」

私が言われた事と、全く同じなのが、怖く感じられた。

本当に、兄妹なの?

ほんとに、親が、同じなの…?

まだまだ納得できず、店長の話をリピートするように考えた。