その日、店長に
「桃ちゃん、ちょっと後でスタッフルームに来て」
と言われ、仕事の合間に行った。
「店長、どうしましたか?」
「うーん・・・ちょっとねー」
自分で呼んだ癖に、早く言ってよ!と言いたくなるのを我慢して、待っていた。
「今から言うことを、真剣に聞いてね?」
「はい」
店長がこんなに真面目になるのは面接の時だけだから、少し緊張した。
「君は、僕の妹だ」
「・・・」
は?
どういうこと?
私の母は、私は一人っ子だと言っていた。
男好きの母は、お前を産まなければ自由になれたと、いつも言う。
「何で・・・ですか?」
私は家族を思いだし、少し不機嫌になりながら聞いた。
「今まで桃ちゃんの話を聞いていると、僕と同じ家族と思ったんだ。」
「えっ?」
「何故僕たちはそれを知らなかったか。それは、“歳”だよ」
「離れてるって、事ですか?」
「そう。僕は今28歳。桃ちゃんは高2だから17歳かな?とにかく、それだけ違うと分かるはずがないよね」
でも、家にいればいることぐらい分かるんじゃないの?
店長は、本当に馬鹿だ。
結局、冗談じゃん。
私は、クスッと笑った。
「どうしたの?」
店長がぽかんとした顔で聞き返すから、爆笑してしまった。
「何で笑ってるの?」
「だって店長、考えてくださいよ。いくら歳が離れているといえ、兄妹なら一緒に住んでるし、分かるはずですよ?」
「それが、違うんだよな」
店長は真面目な顔つきで言った。