サーシャに渡されたマントを着て、フードを深く被る
いつもは賑やかだった街を歩く
この街とも、この国とも
もうお別れか
いつか、また戻って来られればいいなぁ
誰1人として、喋らない。
もしかしたら、みんな同じ事を考えてるのかな?
サーシャも、オグニも、エレガンも、ナンティルも、そしてオルフェも。
この国で過ごした時間は長い
辛くないはずがない
グッと溢れようとする涙をおさえ、前を向く
下を向いたら、泣いてしまいそうで
亡命する人って、こんな感じなんだろうか
そう思っていると、先頭のエレガンが何か呟いた
「……おかしい」
「え、何が?」
「確かに、兵が1人もいないわね」
あ、本当だ
「1人ぐらい、普通じゃなくてもいるはずなんだけど。……罠かな」
「さぁ、油断してんすかね?」
「まぁ、罠でもなんでも、結局は国を出るんだから一緒か」
……。兵に見つかればどうしたんだろ、この人たち
なんか、半殺しにしてしまいそうなんだけど
そんなこんなで、敵地だというのに敵にバレないという奇跡に果てに門にたどり着いた私達