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うっすらと、霧が辺りを漂っている



城の庭、中心にたてられた太い木に括り付けられている人物



霧のせいで、はっきりとその人物が誰なのかはわからないが…確認するまでもないかな



警戒も何もしてないとは、帝国も何をしているんだろうか。



彼を助けには来ないとして、姫を探しにでも行っているんだろうか。



………何にせよ、僕の行動はただ一つ





ヒラリ、と塀から飛び降りる


音もなく、見事な着地をする僕


この時点でもう、完全に普通じゃないや。隠す気ないな、僕。




ま、見られて困るもんじゃないし、城のメイドさんたちも何も言わないでも僕が普通じゃないってわかってたし




着地した後、僕は辺りを警戒しつつ一本の木に近づく




括り付けられている人は、気配に気づいたのか、ゆっくりと顔をあげた





上半身は裸で、痛々しい傷が露わにあっている