「どうすんだ、この餓鬼。てか、どっから入ってきたんだよ」


「…そこが問題なんだ。今日は誰も不審者を見てないしね………」




その2人の会話に、キョロキョロと顔を動かす





………。




「………え、?」





今、はっきりと眼にする光景



ココは庭。庭園。




そして、目の前に見えるのは大きな白い城




……いや、僕が驚いてるのはそこじゃない。いや、驚いたけど!



それ以前に、城の作りが全然違う




………いや、転生するのは10年後だとしてもココまで普通変わるだろうか





レンガや石。ガタガタの塀。


手作り感満載だった小さな城が多かったはず。大きくても、ココまでいかない




………もしかして、大陸が違う??



いや、それはない。僕が転生する場は、必ずこの大陸だ。それは絶対。




なら、ココまで大きな城はあっただろうか。いや、なかった。



なら、





「………、ね」


「ん?」



ピンク色の髪をした女の人の袖を引っ張り話しかける




「いま、とし、なに?」





単語だけでなら、まぁ喋れるか





「年?私は19だけど?」





違う、と首を横に振る




「ええ?………とし?あ、オルフ選びの?」




それも違う。だから、この世界は今何年なんだい



「この、せかい」


「今は"抂"だよ」


「………ゴウ?」


「そうだよ、年号を聞いていたのだろう?」


「……」





ゴウ?おかしい、まだ皇国の皇さんは元気だったはずだ



10年という日々はココまで、世界が変わるのか?


そんなはずなかったが。





「そんな事、何でこの餓鬼が知りたがるんだ、アホか」


「知らないよ……それにしても、その本古いね?」





と、話題を変える為か、栗色が指差したのは僕の本




「"裡"の……だね?」




そう、それだ!うら、だ!!



それならば、完全に皇は死んだという事になるな。まったく、あんなに若かったのに