頭に手を置かれているままで、僕の顔は下を向く



ドタバタと敵の走ってくる音がする



そんな音にも遮られず、オルフェの声はキチンと僕に届いた




「………行けるな」


「……オルフェ、は?」


「……」




ゆっくりと、僕に視線を合わせるオルフェ。そして、イーチェも床におろす



そっと、僕の方に向けてイーチェの背中を押す



その行動に首を傾げるイーチェだけど、僕はそんなの気にしてられない





「……さぁ、俺はどうなることやら」





イーチェが騒ぎだす前にだろうか、オルフェは僕ら2人に右掌を向ける





「オル、フェ?」




魔法陣が、オルフェの掌の前に現れる



その魔法を僕は知っている





当然、隣にいるイーチェもわかるだろう。僕より、ずっとオルフェのそばにいたんだ。知らないわけがない



イーチェの手をギュッと握る


動かさないように。




子どもの僕の力は、たいした力でもないけれど、オルフェの行動に戸惑ってる今ならば問題もない




本気で逃げられたらどうにもならないけどさ



僕が手を握った事に、驚いてるもん。どうにかなるなる