「とにかく、イーチェが心配してるからもっかい城に来てもらえる?」
断る理由もないから頷く
あのラリアストさんが向かってるのが城だとしたら、僕はラッキーか?
いや、違うな。少なくとも、僕が普通ではないと知られてしまった(僕がバラしたも当然なんだけど)から、ラッキーではないな
………言葉には気をつけるべきか
エレガンの差し出してきた手を握り、城へと向かう
「……」
『おいで』
『ーーー、おいで。ほら、帰ろう』
「おい、どうかしたか?」
『帰ろう、我が家に』
頭の中に響き渡る声
帰ろう、か。ふふっ、そんな時代もあったね
「何でもない!」
「お前、喋れたんだな」
「とくべつー」
「あっそ」
オルフェは興味なさそうに呟く。聞いてきたの君ですけど
「特別か。……そっか、それで」
なんだい、エレガンくん。今まで黙ってたのは考え事か?