「本来なら、こいつを届けに来たんだ。まぁ、ココにいなかったら今後使わせてもらうつもりではいたがな」
「……イーチェとの交換なら引き受けないわよ」
「最後まで聞けよ。言ったろ?届けに来たと」
「どういうつもりだ」
「どうもこうも。気まぐれ?」
「「………はぁ?」」
ヘラッと笑ってはいるけれど、敵地に単独で来るとか、気まぐれであり得るの?
「……止血はしたし、麻痺毒だからまぁ後の問題はねぇよ。プラス、俺を見逃してくれたら完璧だ!」
「………」
敵ではあるが、呆れずにはいられない
「止血って、?」
「刺されてたんだよ、んー、傷から察するにレイピアだな」
「お前なぁ」
「んだよ、俺が見つけなかったら未だに路地裏だぞ?しかも、ココ地味に寒くなるしよ」
「………それは助かるが、何か企んでねぇか」
「まぁ、確かに白の器は手に入れてぇけどさ?俺、今命危ういし。そんな馬鹿な事はしねぇよ」
「ココにいる時点で既に馬鹿ですよぉ」
「そこは突っ込むな。……って事で俺は」
と、立ち去ろうとする男に私は慌てて立ち上がる
「モルちゃんは?」
「あん?モルちゃ、………あぁ、あの餓鬼?お前と一緒じゃねぇの? 」
「………え、」