静かになる馬車の中
逃げる為にもこれ以上2人が来ないのであれば、置いて行くしかないのかもしれない
イーチェのテレパシーにも反応しないし、ナンティルにも見つけられない。
みんなで探し回って、また誰か集まらないとなれば、私が捕まれば、それこそ最悪な事態だ
行こう、そう言おうとした時だった
「なぁ、」
「なに………ぃ!?」
馬車の外から男の声がした。
嘘!?気づかなかった!
「………リャンヤル」
「おう。俺の名前知ってたんだな?」
「当たり前ですよ、帝国第二皇子さん」
「ハハッ、やっぱり知れ渡ってんだ?」
笑う皇子さんと対して、私達は警戒する
「……そんな警戒すんなよ、よく見ろ、俺1人だぞ?」
「コッチにとっては、ラッキーなんだがな」
「怖えなぁ」
オルフェの言葉に、そう返しながらも全く怖くはなさそうに笑う
「まぁ、殺されかけるなら………俺もこいつを殺すまで」
「っ、オグニ!?」
スッと、横にずれた皇子さんの後ろにはオグニがいた
意識がないのか、倒れたままでグッタリしているようにも見えた