「ねぇねぇ、この実…何て言うの?」




と、モルテアが運ばれて来た料理にのっかっている幾つかの黒い実をフォークでつつく




「何かの実っすよ。」


「……知らないんだ」


「世の中にはまだまだ知らないものなんて沢山あるっすよ」


「……」



少しだけ眉間にシワを寄せ、実をつつくのをやめないモルテア



そんなモルテアを見ながらも、自分が頼んだ料理を口に運ぶ





「サッサと食べないと冷めるっすよ」


「………何か僕、これ嫌い」


「食べる前から何言ってるんすか。好き嫌いはダメっすよ」


「ガインに言ってよ」


「こういうのは子どものうちから」


「………僕一応、子どもじゃないよ?むしろヨボヨボおじいちゃん。」


「……面倒っすね、あんたも」





俺が食べ終わっても、モルテアはまだ半分残っている



その半分の中には当然実も。



俺はその実をフォークで突き刺し、モルテアの口に押し込む




「………ふぐふぐふぐぅー」


「何言ってんのか、サッパリっすよ。飲み込んでから言え」


「……むぐ」



ふぅ、と一息ついてから、モルテアが口を開く



「何すんの」


「放り込んだ」


「嫌いだっていったのに」


「……物は試しっすよ。で、うまかったっすか?」


「他のもあったからわかんない」


「あ、そう」




意味ないな。