ヴァルギの港が見えなくなった頃




もうすぐ日が沈む


海や空が茜色に染まって行く





「へぇ、結構夕日って綺麗なもんだね?」


「だね」




キラキラと光る海面を、イーチェと見ている時



歯車は大きく狂いだす





「ルク、ありゃぁ船か?」


「見たらわかるっしょ。船だ。……結構デカイやつだな」





オルフェ達の声に、振り返ると、確かにポツンとコッチに向かって来つつある船が見えた





「近づいたら海賊でしたぁ、なんて洒落になんないからな。ちと、進路変えんぜ」


「おー」





まぁ確かに。海賊でしたとかヤダもんな




少しだけ、速度と方向を変えた船





しかし






「おい、おいおいおいおいおいおい!!」



「何回おいって言うのさ。馬鹿じゃないの?」


「何か言ったかクソ餓鬼。」


「………別になにも?で、どうしたーーーあ、」




焦ったような声に、またまたイーチェと同時に振り向けば




ポツンとだった船が、完全にこの船に向かって進んでいて、しかも、結構近くまで来てるっていう。




「………うわぁ、あれ商船?」


「んなわけあるか、アホ!!」





なんて、声が操縦室から聞こえた




………アホって。うわぁ、僕ショック。