「………これ、何処の文字かしら」
「ナンティルに聞けばわかるんじゃない?」
「そうね、」
このページから先は、読めるようで読めない文字だった
何かみた事はある気がする
魔法陣なんかも書かれていて、とても日記だとは思えない
「この黒い獅子っていうのが、魔物の王ね……」
「なんで?」
「………いや、止めてほしいって書いてあるじゃない」
「あ、そっか」
サーシャは苦笑いしながら、文字の部分をそっと撫でる
「……術がかかってるわね、この本」
「触っただけなのにわかるの?」
ポツリと呟いたサーシャの表情は何処か真剣で
「なんとなくだけどね」
「……全然わかんない」
「そりゃーね」
サーシャと同じように触ってみるが、何もわかりはしない
……わかったら凄いよね、私は特に使える魔法もないのに
「じゃ、ナンティルを探しに行きましょうか」
「うん」
歩きだしたサーシャの後を追う
ふと、廊下のようなところに出た時だった
視線を感じ、足を止めてキョロキョロと辺りを見渡す
すると、奥の方に1人誰かがいた
ジッとコッチを見ている
青っぽい銀髪で男の人なのはわかるけど、それ以外はよく見えない
「イーチェ?」
「今、行く!」
私は男の人から視線を逸らし、サーシャの元へ急いで駆け寄る