「バッカだねぇ、王子さん」


「あ?」




いつも聞いている声と何処か違う



あざ笑うかのような、




そんな少女に近づく男




「マズイな」



あの軍服は帝国だ、と思い塀から彼らの真ん中へと飛び降りようとした時






「っ?!」




男は足を止め、目を見開いてモルを見ていた





「馬鹿だよ。僕に親なんていると思った
?………残念、僕の親はもういないよ」


「ふんっ、冗談はよせ。お前のような子どもが親無しでは生きていけないだろう。施設にも入っていないようだしな」





親がいない?………もう他界していたのか



だから、逃げたんですかねぇ。別に隠すような事じゃないでしょうに





「僕は1人で生きてけるよ?今までずっと……そうだったんだから」




今まで?


………この子は、そんな小さい時から1人だったというのですかぁ?



いや、それはない。




なら、何故……まぁ、いいや。