二人は私が聞いてるなんて

夢にも思っていないようで

そのまま話を続ける。


『今日だって結衣が智也くんのこと

 好きだって知ってるくせに

 あんなに仲良くしゃべってたし!』


『なんで早苗が怒ってんのさ。

 怒りたいのは私だって!』  

結衣が笑いながら答える。


『ついつい結衣が悲しんでると思うと

 力はいっちゃってね。』

早苗はそういっておどけてみせる。

『やっぱ私には早苗しかいないわ!』

そう言った結衣の言葉が

頭から離れなかった。