ヨシトは大変なことになったと言っていた。
おそらく『カミ』について進展があったんだろう。
あまりゆっくりしていられないな。
俺は深呼吸をして走り出した。

だいたい10分くらい走っただろうか。
俺は無事にスタジオに到着した。
そこにはコウ、ヨシト、ヨウ、エリが待っていた。

俺は息を切らしたまま
「はぁはぁ、お待たせ。
なんだ?大変なことって?」
エリが、
「何か手がかりがないかと思って中学のころから来ていたこのスタジオに来たのよ。そしたらこんなものが忘れ物を保管している棚に入っていたのよ」
それは3枚ほど束になりホッチキスで止めてあるバンドのスコアだった。
そのスコアにある作曲者の名前は
『新城 真知』
となっていた。
だが問題はアーティスト名にあった。
アーティスト名:Over Drive
そして丁寧にも担当パートの名前まで書いてあった。
「なんでこんなものが?それにこの『新城 真知』ってだれだ?」
するとコウが言った。
「わからないんだ。だがこの曲は聞き覚えがある・・・いや、そんなもんじゃない、わかるんだよ、ドラムのたたき方、ベースの弾き方、キーボードの弾き方すべてが!俺たち全員が!」
そう言った。続けてヨウが
「だが、この作曲者の名前がわからない。このスタジオのスタッフが言うには、何年か前まで俺たちと一緒にこのスタジオに何度か来ていたそうだ」
「それって・・・」
「あぁ。おそらく・・・いや確実にお前だけなく、俺たちも記憶を消されているようだな」