あれは中学に入学したばかりの時のこと・・・

私は両親の仕事の都合で東京からこの町に引っ越してきた。
小学校で一緒だった友達とも離れ
て、知り合いのいないこの中学校に入学した。

ある日、1人の男の子が目に入った。私の席の斜め前の席の子だ。
その子は他の男と話をしていた。
「やっぱりギターはフィンダーのが一番いいんだって高いけどカッコいいし!」
「何生意気言ってんだよそんなにうまくないくせに」

ギター・・・あの子もギターをやっているのだろうか?
私は母親の影響で小学4年生からギターをやっている。
私はその子の事が気になって
たまたま持ってきていたギターの
雑誌をその子の近くに落とした。

「ん?これ君の?」
その子は親切に拾ってくれた。
「あっごめんね?ありがとう」
顔が赤くなっているのが自分でもわかった。
どうしたんだろう?人見知りなんてしたことないのに・・・
するとその子は、
「ねぇ君、ギターやってるの?」
「うん・・・小学校の時から、お母さんの影響で・・・」
「小学校??何年生くらいの時から?」
「4年生の時から・・・かな」
「すごっ!いいなぁうまいんだろうなぁ」
「そんな事ないよ」
その子は無邪気な笑顔で、熱心に話を聞いてくれた。そして・・・
「ねぇ家どの辺?一緒に帰らない?もっと話がしたいな。いい?」