涙が止まらなくて
どうしようもなく

ただ抱きしめられる


「…お前は不器用だよ…こんなやり方でしか、直高の事を忘れられない。親父にそっくりだよ、香那は」


ふっ、と笑いながら話す


そんな香の声は
何故か辛そうに聞こえて

「…きっとお前の中の『直』は、現実の『直』とは遠く離れているかも知れない。それでもお前が…直高を好きなら、俺はこのままの距離でいい…"体だけの友達"で良いよ。」


言葉の意味が理解出来なくて
そっと振り向く

体ごと香の方に向けて
ぎゅっ、とたくましい背中を
抱きしめる

裸のまま抱き合うのって…
こんなに暖かかったんだ


直とは違う

温もりを感じた