季節は秋。そろそろ寒くなってきたこの日。
秋といえば読書。





彼も学校の静かな図書室で、熱心に本を読んでいた。
本の題名は『恋愛とは何か』という、恋愛について詳しく書かれている分厚い本だ。

「...っ...?...!...!!!!」

彼は一人きりの図書室で百面相し、そして真っ赤な顔で立ち上がった。

「こここここここんなの無理!!」






彼は、岡田 純。高校1年生のごく普通の男子。
教室ではあまり目立っていなく、実は一人も友達と呼べる人がいなかった。休憩時間は無言で読書。
そして今は放課後。何故彼がこんな本を読んでいるのか。


それは2日前の事だった____________




純は珍しく居残りをしており、真っ暗な空間を月の光だけを頼りに帰っていた。
「う~、なんでこんな真っ暗な中を...」
正直、オバケとか得意じゃない純は、風で音を立てた木にさえビビってしまうのだ。
「は、早く帰ろう!!」
目には涙を浮かべており、歩いていた足を早めた。



キィィィ......キィィィ...

「!!!!!!!!!!!!!!」
不穏な音に驚き、つい地面に座り込んでしまった。


「な...なに......?」

キィィィ...キィィィ...

どうやら純の左側にある公園からのようだ。


キィィィ...キィィィ...


_____その音は、どこか寂しいようだった。



純は震える足を抑えて立ち上がり、公園に向けてゆっくり歩き出した。