ゆきえは

『はい…』



小さな、ゆっくりな声で答えた。



自分がしたことも、間違ってる、
相手への文句は口でいうべきなのだ、
たとえ自分が一人でいじめた人が複数であったから、自分が圧倒的不利で、しかも、いじめをやめてくれと言っても、耳傾けられたことなんてない、としても、



やはり
曲がったことしてはならない。


大学には意地悪な人間はいない。
意地悪な人間いないし
学科の友人らも良い人ばかり,
友人がいるのに、
ああいう愚かなことをなぜ、やったのか。

そのとき



裁判所のドアが開き、誰か入ってきた。

『ちょっと待ってください!』


ゆきえの聞き覚えのある声だった。


ゆきえが振り向くと、


同じ学科の男友達、
神重智也(かみしげともや、175センチ)だ。
アイドルで言えば、WESTプリンスの重丘君によく似ている美少年である。




携帯のアドレス、ライソは交換してるし
何回か話したり
他の友達と彼と一緒に遊んだこともある。


か、か、神重くん、どうしてここに?
神重くんがなぜ???


ゆきえは驚きを隠せない。


『ゆきえちゃんにも、
弁解の余地を与えて欲しいんです!


ゆきえちゃんだけに非があったとは到底思えません!


貶し言葉を褒め言葉と偽って教えられたり、
理不尽な要求をつきつけられたり
容姿などはじめからのこと悪く言われたりすれば
誰しも追い詰められて辛く苦しくなります、それらは、どれも、類を見ないほどかなり陰湿で悪いいじめかたです、
どれも、通常のいじめ以上にかなり陰湿で卑劣です、
辛さ苦しみ悲しみは
ずっと残るはずなんです!
人間不信になってもおかしくないほど
惨すぎるイジメですよ


裁くならむしろ
他人をいじめる方ではないんですか?!いじめる方が、悪いと、思うのですが?!!』


神重くんが、普段の穏やかな雰囲気とうってかわり、
怒りの混じった強い口調で話す。


神重くん…
私のために怒ってくれるのはうれしいけど、
なぜ、私に対するいじめの内容わかるの?


ゆきえはいじめ被害にあったことを
神重くんに話したことはない。

神重くんにも
大学の他の友達にもまだ話してない。