『そ。ズルイの。でも、それも俺の手なの。
なりふり構ってらんないわけ』
「シゲがこんなにズルイとは思わなかった」
『嫌いになった?』
「ならない」
『ん。よろしい』
「偉そう」
『あはは。まあな』
正直、こうやって笑い合えないかもと思ってたから安心した。
シゲの気持ちに向き合う余裕なんて全くないけど、それでも、シゲが私と連絡取りたくないわけじゃないってわかってホッとした。
「これからもよろしく、シゲ」
『何か、それ恋人になりたてみたいな言い方でヤダ』
「はあ?どこが」
『だって、そうじゃん。
また遊ぼうな、でいいだろ。ハゲ』
「ハゲじゃないし!髪の毛あるし!寧ろ、シゲよりあるから!」
『俺よりあるとか、そういう問題じゃない』
「そういう問題だ」
『ぶは!やっぱ雪村最高!』
「な!何を笑ってる」
『あはは。まあ、何があっても俺から友達って事だけはやめねえよ』
「……っ」
これはキタ。
涙腺に来る。
くそ、さっきまで泣いてたから緩い。ユルユルだぜ。