入口から、店内をぐるりと見渡す。
すぐさま店員が声をかけてくるが、ツレがいるので。と告げて断ると。


「ラブー!」


窓際の一番奥で、結城がそう私を呼んだ。


一斉に集まる視線。
……ラブってあだ名、どうにかならんか。


ラブーって大きな声で言われるのって、思いっ切り誤解を生みそうな感じがするんだけど。


少しの苛立ちを抱えながら、私は結城の席まで歩く。
当の結城はニコニコと私が来るのを待っていた。



「結城。元気そうね」

「うん、だってラブ来てくれたし」

「……そうですか」


なんだって言うんだ。


こんだけニッコニコされたら、怒るモノも怒れない。
納得はしてないけど、とりあえず結城の目の前に座った。


それから、メニューを開く。


「結城はご飯食べたの?」

「ううん」

「じゃあ、好きなの頼んで。
支払いはするから」

「ラブってやっさしー」

「……棒読みなんですけど」