折れたのはどうやら有紗の方みたい。
はあっと溜め息をつくと、


「そうだよね、戻ったんだもんね。
わかった。来週まで待つ。来週からは譲らないからね?」


腕を組みながらそう言うと教室を出て行った。



出て行ったのを確認すると、秋人が少しだけ眉を下げる。



「愛ちゃん。勝手に決めちゃってごめんね」

「ううん、平気」

「俺、心狭いのかな」



ぼそっと独り事の様に呟く秋人。
見上げて顔を覗き込むけど、イマイチその表情から言葉の意図が読み取れない。


秋人は別に心狭くないと思うけど。



「愛ちゃんが誰かと笑ってるのすら嫌だとか思っちゃうの」

「……はい?」