「……ごめんね」


申し訳なさそうに謝罪の言葉を口にする結城に、私は首を傾げた。


「何が?」



とぼけているとかでなく、どうして謝罪されたのか見当つかないんだ。
だって、あれは私を想っての言葉だってわかってるから。


だから、結城が謝る必要なんてのはこれっぽっちもない。



「……いや、腕」

「ああ」



成程。納得。
確かに結構痛かった。


でも、そんな思いつめた顔で言うことでもない。



「ラブ、今度俺と二人で出掛けようね」

「お断りします」



上目遣いで言って来るけど、私は笑顔で即答した。
それから、すぐに前を向く。


結城の今の顔や姿は大体想像つく。
そして、後ろから本間の押し殺した笑い声が聞こえて来る。
まあ、それも想定内。



授業が始まり、私はさっきのタムっちの言葉を思い出していた。