「……」



結城は黙ったまま、秋人を見上げる。
それに少しだけ秋人が悲しそうな目をしたのを、私は見逃さなかった。


すぐに秋人は笑顔を作って、話しかけていたけど。
無理して笑う必要なんてないのに。


結城は友達じゃん。
大丈夫だから。って、今すぐ声をかけたくなる。




「週末、新ちゃんと清ちゃんも図書館行こうよ」

「……」

「ほら、テスト近いし。
愛ちゃんと勉強しようかって話してたんだ」

「その前に答えろよ」

「え?」


そのあまりにも冷たくて低い声に私も一瞬、耳を疑った。
それは今、私の後ろにいる結城から発されたのだろうかと。


秋人も同じ事を思った様で、口を開けたまま何も言わない。