授業なんて、右から左に流れちゃってて。
何も頭に残ってくれない。


これはまじで頑張らないと、テストボロボロかもしれない。


少しだけ憂鬱になりながら、私は黒板の文字の羅列だけを書き写していく。
意味なんてわかっちゃいないけど。



授業を終えるチャイムが鳴って、すぐに入って来たのは秋人だった。



「愛ちゃん」


ニコニコ笑顔で私の元へやって来る秋人に、さっきまでの憂鬱な気持ちが薄れていく。



「秋人」


周りからの痛いほど感じる視線は気の所為じゃないと思う。
しかも、悪意の視線。


後ろの結城も無表情だし。
嘘だとわかってる本間は気にしてない様だけど。



秋人は私の目の前まで来ると、私ではなく。


「新ちゃん」


後ろにいる結城に声をかけた。