「いやだ。いやだよ。」


その時、私は当時彼の家で泣き叫んだ。


母の末期癌を知って私の気持ちは崩れ落ちた。


泣き崩れた私を優しく彼は抱きしめてくれた。



母がとても大好きだった私は毎日、病院へ見舞いにいった。


短い時間を少しでも母と過ごしたかった。








そして闘病生活一年あまりで
母は帰らぬ人となった。






心電図が停止して、私は
母に

「お母さん、今までありがとう。」

と言った。


私を産んで過保護くらいに育ててくれた母に感謝した。


職場で母の死を知った彼はその場で泣き崩れたらしい。


誰からも愛される人だった。





「これでお父さんに会えたね。お母さん、でも私寂しいよ。一人にしないでよ。私はどうしたらいいの?」






亡くなってから日々辛い思いばかりだった。