「……さようなら」
ママに背中を軽く押され、私はしぶしぶ口を開いて一言だけ。
でも、なにも返事がない。
言ったのに私!
バイバイの一言ぐらいくれたっていいじゃん……。
そう思いながら見つめていると、千景くんが動いた。
ポケットの中に手を突っ込んでなにかを握りしめて、グーにしたまま私に向けた。
その手の中はなに?
千景くんのことだから、虫とか石とか食べ終わったあとのアメの袋とか……なんて。
内心、びくびくしながらも両手で受け取ろうと差し出してみれば。
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
読み込み中…