千景くんはやっぱり、モテる。
彼女持ちでも、人気は急降下しない。
部活などにも入ってないのに、他学年のひとたちも知ってるぐらいの有名人。
今日も今日とて囲まれている。
「あらら、あれは休み時間終わるまで教室戻ってこないね〜」
聖菜ちゃんの声に視線を向ける。
私たちの席から窓を通して見える廊下には、見慣れた人だかり。
千景くんと前園くんを囲んでなにやら楽しそうにする大勢の女子の皆さん。
なにをそんなに楽しそうに話してるんだか。
聞こえそうで、はっきり聞こえてこない。
見なければいいのに、気になって見ちゃう。