数分ぐらい経った頃。
寝たかなと思って、私も目を閉じようと思っていたら。
「あ、そうだ。愛生」
「ん?」
「……結婚」
「け、っこん……って」
「忘れた?」
千景くんの目が私を捉える。
握っていた手を一度離して、小指を絡ませてくる。
卒園式の日にした約束を忘れるわけない、でしょ?
もうこれ以上ドキドキすることがあるのかなって思うぐらいに鳴る胸の音を感じながらその瞳を見つめた。
寝る前に大好きな千景くんの声を聞いて、安心しきった顔を目に映して。
こんな幸せがずっと続いていきますように。
そう願いながら、千景くんの隣にずっといるね。