買ったばかりの冷えたペットボトルを肌に当てながら、ぼんやり先を見る。
千景くん、熱大丈夫かな。
「千景いなくて、寂しいね」
「えっ、私そんな顔だしてる? ごめん、ちゃんと楽しんでるんだけど千景くんのこと少し心配ってのもあって…」
ペタペタと自分の顔に触れてみた。
そんな顔してたなんて……見てる方もいい気持ちにはならないよなぁきっと。
「好きなんだよね」
「……好き。千景くん以外なんて考えられない」
そうなんだよね。
千景くん以外なんて…。
視線を落としていると、市橋くんが立ち上がって靴と地面がじゃりっと擦れる音がした。
「百瀬さんたち見てると、一度でもいいからそんなに一途に思われてみたいなって。僕も思った」
顔をあげれば、やわらかい表情の市橋くんと目が合う。
自分の気持ちを肯定してもらえてるって、不思議とそんな気分になった。
素敵だねって。うれしい。