一線を引いて、本気で人を好きにならいないようにして。
そうしていたら、なれなくなって。
千景くん。
そんな境界線なんて飛び越えておいで!
飛び越えた先で私はちゃんと待っているし、どんな千景くんでもしっかりと受け止めるよ。
掴んでただけの手を、わざわざ指を絡めてぎゅっとしなおす。
千景くんもそれにチラッと視線を向けたけど、ふっと軽く笑うだけ。
というか、たぶん面倒くさくなって相手してないだけ…?
目がとろんとしていて、もうすごく眠そうだ。
そうだよね、
今日は朝から外出してたし、雨に濡れて、疲れたよね。
「私、千景くんの隣にいるよ。離れてかないよ」
「あっそ。…じゃあ朝までこの手、離すなよ」
「…うん」
私が返事したのを見てから静かに瞼を閉じてしまった。
もっと恐れないで踏み込んで来て、そして好きって、
聞かせてよ。
「おやすみ。…大好きだよ、千景くんのこと」